深井看護医学ゼミナール

看護師国家試験・ビタミン欠乏症

看護師国家試験予想問題

問題 ビタミンとその欠乏によって生じる疾患・症状の組み合わせで正しいのはどれか。

1. ビタミンA-ペラグラ

2. ビタミンB1ーウェルニッケ脳症

3. ビタミンB12ー出血傾向

4. ビタミンCー夜盲症

 

答え、2

 

[解説]

1. ビタミンA欠乏では夜盲症をきたす。皮膚炎や消化器症状をきたすペラグラはナイアシンの欠乏でおこる。

2. ビタミンB1が不足すると、ウェルニッケ脳症が起こる。大量にアルコールを飲む人に多く、意識障害や運動失調、眼球運動障害などをきたす。未治療で時間が経つと脳に不可逆な障害が及ぶので、速やかにビタミンB1を投与する。

3. ビタミンB12が不足すると、悪性貧血をきたす。[悪性]と名称につくが、ビタミンB12補充で予後は良い。ビタミンKが不足すると凝固因子の作用が障害されるので出血傾向をきたす。

4. ビタミンCが不足すると壊血病になる。夜盲症はビタミンA不足が原因となる。

 

ビタミンA

化合物名でレチノールとよばれ、淡黄色、脂溶性で酸化されやすく、紫外線によって破壊される。調理による損失は少ない。カロチンはプロビタミンA(小腸粘膜でビタミンAに変換する前駆体)として有効で、腸菅からの吸収には脂肪の存在が必要である。吸収後は長鎖脂肪酸とエステル結合し、肝臓に蓄積され、必要に応じて各組織、各細胞にビタミンA結合タンパクとなって血液中を運ばれる。

欠乏症すると暗順応が低下し、夜盲症、眼球乾燥症、角膜軟化症を生じる。皮膚や粘膜の角質化、易感染、発育障害、エナメル質の形成不全など骨質生成へも影響する。しかし日本の現状では、特定の重症疾患の場合を除いて欠乏症はみられない。

ビタミンB1

化学構造チアミンとよばれ、抗神経炎の意でアノイリンともよばれる。水にとけやすく、熱に弱い。アルカリ性溶液では不安定なので、食品の調理には注意を要する。ビタミンB1は食事性の不足がない場合でも、体内でビタミンB1需要量が増加しているとき(極端な高糖質食摂取あるいは妊産婦、高温環境における重労働時、熱性疾患、甲状腺機能亢進症、基礎代謝亢進時など)や摂取したビタミンB1がピロリン酸化されにくいとき(慢性肝疾患、糖尿病、内分泌疾患、タンパク質不足などの栄養障害)およびアノイリナーゼ(貝類、淡水魚類、ワラビ、ゼンマイなどのシダ類に含まれるビタミンB1分解酵素)の摂取や腸菅内にもつ場合にはビタミンB1欠乏の症状を呈する。

ビタミンB2

リボフラビンと命名され、生体内物質代謝に関与するフラビン酵素の補酵素FMN(フラビンモノヌクレオチド)、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)の構成要素として重要である。フラビン酵素は生体内酸化還元に作用し、糖質さらにアミノ酸代謝、エネルギー代謝に関与する。欠乏すると成長障害、食欲不振、易疲労、口唇びらん、き裂、口角炎、口内炎、咽頭痛、湿疹、脂漏性皮膚炎、眼症状では角膜辺縁部の充血、角膜混濁、弱視など。

ビタミンE

脂溶性ビタミンで抗不妊因子として発見された。同族体のうちαトコフェロールが最もその作用が強い。抗酸化作用をもつため不飽和脂肪酸やビタミンA・Dなどの酸化防止、生体膜構造の保全に有効である。生体内過酸化脂質の減少を招くことから、老化予防に有効とも言われる。

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