概略
アメリカの心理学者であるアブラハム・マズロー(1908~1970)
が導き出した5段階の基本的欲求説である。
人間の欲求には ➀生理的欲求、②安全欲求、③所属愛の欲求、
④承認欲求、⑤自己実現 の欲求の5段階がある。さらにマズロー
は5段階の欲求階層の上にもう1つ上の6番目の段階があると発表している。
それは⑥自己超越欲求というものである。さらにこの5段階を大きく
2つに分類できる。欠乏欲求と成長欲求である。
・欠乏欲求・・・➀生理的欲求、②安全欲求、➂所属愛の欲求、④承認欲求
この欠乏欲求は自分に足りないから外部から得ることで満たし、他者に依存し
執着心があり、低示欲求といわれる。
・成長欲求・・・・⑤ 自己実現の欲求
この成長欲求は自分が満たされているので、自己の成長や他者の援助に目を
むけることができる。
①生理的欲求
食欲や睡眠欲など人の命に関わる欲求といわれる。例えば、コロナ禍で
仕事をリストラされ家族も友人もいない男性が、1ヵ月後にアパートの
退去を迫られて残金が1万円しかないという状況であると仮定する。
まず、この男性は何をするのか?
この大切な1万円を洋服や趣味にお金を使うなど絶対にしない。
とりあえず食料の調達に奔走するのではないか、と考えられる。
つまり、衣・食・住 のうち「食」が最重要になる。
②安全欲求
安全で快適に睡眠をとれる場所を求めたり、心身共に安全で健康で
いたい欲求である。
例えば、前述の男性は何とか食料の確保ができたら1ヵ月後にはアパート
を追い出されてしまう。つぎに求めるのは安心して暖かい布団で眠る
ことがてきる住居と安定した収入のために仕事である。
つまり、衣・食・住 の 「衣」と「住」に移っていく。
③所属愛の欲求
人は独りでは生きていけないので、一緒にいたい友人や恋人を作りたいと
思う欲求が湧いてくる。例えば、生活に余裕が出てくると孤独を嫌い人と
楽しみを共有したいと思う。Facebook・Twitter・instagram・LINEなどの
SNSに手を出すようになる。
④承認欲求
他人や社会から認められたいという欲求が出てくる承認欲求は次の2つに
分類できる。
・他者承認欲求(低次)・・・他人の評価を得て注目を浴びたい。
例えば、良い大学に入りたい。高級車が欲しい。SNS上で「いいね!」を
増やしたり、Instagramで過剰にフォロワーの反応をきにする。しかし、
認められない場合は無力感や劣等感に襲われるので、他者承認欲求に
留まるのは危険である。
・自己承認欲求(高次)・・・自分で自分を認めて自信をつけたい欲求
例えば、目標を決めてコツコツ勉強する。探究心が旺盛である。
さらに、この自己承認欲求は心の防衛規制の「昇華」に該当するので
レベルが高い。
⑤自己実現の欲求
自分の能力や可能性を試してみたいという欲求のことで、自分の限界
に挑戦してみたいと思うことや無償性も含まれる。
例えば、プライドや向上心が高くトップを目指したい物的な豊かさ
(マンションや高級車)より、精神的な豊かさを求めることである。
あるいは、ボランティア活動ややりがいのある仕事(やりたくないが
給料の高い仕事をするより、給料は低いが自分のしたい仕事)をする
ことである。
⑥自己超越欲求
他人からの見返りを求めない高尚な欲求のことで、他者の不幸に罪悪感
抱く謙虚である。
例えば、マザー・テレサの貧困や病気に苦しむ人達の救済活動が該当する。
マズローの法則を知ればビジネスでマーケティングに活用できたり、自分
の私生活や受験におけるモチベーションを高めるのに利用できる。