看護師国家試験予想問題
問題 代謝性アルカローシスになるのはどれか。
1.大量嘔吐
2.過換気症候群
3.気道閉塞
4.激しい下痢
答え、1
[解説]
血液のpHは厳密に調節されていて、正常では約7.4(7.35~7.45)である。酸塩基平衡が崩れ、血液のpHが7.35未満になった場合をアシドーシス、7.45超になった場合をアルカローシスという。
1. 吐物のうち、胃液中に含まれる水素イオン(H+)やクロールイオン(Cl-)などを多量に喪失すると、低クロール性アルカローシス、つまり代謝性アルカローシスが起こる。体内の相対的なアルカリの増加からもたらされる重炭酸イオン(HCO3-)の増加によるものである。
2. 過換気は、体内で代謝によって産生された二酸化炭素(CO2)を除くのに必要な換気以上に肺胞換気が促進することである。肺のガス交換上昇によるHCO3-の減少から、pHの上昇をきたして呼吸性アルカローシスとなる。
3. 気道閉塞により呼吸道からCO2の放出が妨げられると、体内にCO2が蓄積する。肺のガス交換低下のためにCO2が排出不良になり、CO2が蓄積して動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が高くなり、pHは低下して、呼吸性アシドーシスとなる。
4. 下痢により、小腸、大腸のアルカリ性の内容物が過剰に失われると、体液のアルカリ欠乏をきたし、脱水、塩分欠乏により、酸塩基平衡障害が増悪する。体内の相対的な酸の増加、あるいはHCO3-の減少により、代謝性アシドーシスとなる。
代謝性アシドーシス
下痢
小腸、大腸の内容物はアルカリ性なので、激しい下痢により失われると、体液のアルカリ欠乏を引き起こす。
食欲不振
食べ物を摂取できないと肝臓や筋肉に貯蔵されているグリコーゲンが糖質として消費され、血液や尿中にケトン体が増加する。
激しい運動
多量のアドレナリンが筋肉や肝臓のグリコーゲン分解を亢進させ、筋組織から代謝中間産物の乳酸が多量に放出される。
ショック
循環不全により組織細胞に酸素欠乏を生じ、血中に乳酸やリン酸が増して、ケトン体が陰イオンとなる。
腎不全
腎臓の機能障害で体内の代謝産物を十分に排泄できず、酸が体内に異常に増加する。
代謝性アルカローシス
嘔吐
胃液に含まれるH+やCl-などを過剰に失うと血漿HCO3-の上昇を招きアルカローシスとなる。
呼吸性アシドーシス
呼吸道からCO2の放出が妨げられると、体内にCO2が蓄積して、血漿pHが低下する。
例えば、息こらえ、胸郭の運動障害、脳幹の呼吸中枢の抑制、麻薬中毒、極度な肥満である。
呼吸性アルカローシス
過換気症候群
肺胞換気の亢進により、肺胞空気中のPaCO2が低下するので、肺循環からCO2が出されていくため、動脈血、組織におけるPaCO2、静脈血のPaCO2も低下する。