看護師国家試験予想問題
問題 臓器の移植に関する法律に基づく脳死の判定基準に含まれるのはどれか。
1.心停止
2.クスマウル呼吸
3.左右の瞳孔径4㎜@以上
4.浅昏睡
答え、3
[解説]
日本では、臓器の移植に関する法律(臓器移植法)に基づき、脳死した者の身体から、移植のための臓器を摘出することが認められている。脳死の判定基準は、同法施行規則に明記されている。①深昏睡、②瞳孔固定・散大、③脳幹反射の消失、④平坦脳波、⑤自発呼吸の消失の5条件が満たされたのち、6時間(6歳未満では24時間)経過をみて、変化がないことが再び確認された場合に、脳死と判定される。
1. 心停止は、死の三兆候のひとつである。脳死の判定基準には含まれていない。
2. クスマウル呼吸は深いわりには速い呼吸で尿毒症や糖尿病ケトアシドーシスなど、強度の代謝性アシドーシスに対する呼吸性代償としてみられる。
3. 脳死の判定基準では、瞳孔が固定し、瞳孔径が左右とも4㎜以上であることがある。
4. 脳死の判定基準である深昏睡は、ジャパン・コーマ・スケール(JCS)でsunでⅢ-300グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)で3に該当する状態である。
臓器移植法
1997年(平成9年)に施行され、脳死した者の身体から、移植のための臓器を摘出することが認められるようになった。
脳死した者の身体とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆に停止するに至ったと判定された者の身体をいう。
2010(平成22)年の改正により、本人が意思表示していない場合の家族の承認による提供、小児(15歳未満)からの提供が認められることになった。
脳死の判定基準
①深昏睡
JCSⅢ-300. GCS3で深昏睡と判定
②瞳孔散大・固定
左右の瞳孔径が4㎜以上、刺激に対する反応の欠如
③脳幹反射の消失
対光反射(片方の目に光を当てるともう一方の目の瞳孔も縮小する)
角膜反射(目に虫が飛んできた時、咄嗟にまぶたを閉じる)
毛様脊髄反射(首の皮膚をつねると瞳孔が1~3㎜散大する)
眼球頭反射(患者の頭を他動的に上下左右に動かすと、正常では動かした方向と反対方向に眼球が動く)
咽頭反対(喉の奥に指を突っ込むと「オエッ」となる)
咳反対(気道内の刺激に対して、肺内の吸気を突発的に流出させ、異物を排除する)
④平坦脳波
適切な技術水準を守って測定された脳波において、脳幹計の内部雑音を超える脳由来の電位がない脳波であることを確認(脳波活動の消失)
⑤自発呼吸の消失
無呼吸テストは他の判定項目をすべて行ったのちに実施
※第1回目の脳死判定で①~⑤が確認されたのち、6時間(6歳未満では24時間)以上経過した時点で第2回目の脳死判定を行い、すべての項目が満たされた場合、脳死と判定する。死亡時刻は第2回目の判定終了時となる。