看護師国家試験予想問題
問題 抹消の血管が拡張するためにショックをきたすのはどれか。
1.敗血症
2.緊張性気胸
3.大動脈破裂
4.感染性胃腸炎
5.急性心筋梗塞
答え、1
[解説]
ショックとは、全身の循環が障害され、重要な臓器に血流が行き渡らない状態をいう。意識障害や全身の臓器の機能異常などをきたし、死にいたることもある。
1.敗血症によって抹消血管が広がり、血液の量が相対的に不足するため、血流分布不均衡性ショックに陥る。
2.緊張性気胸では全身から心臓に戻る血液の量が減るため、閉塞性ショックを起こす。
3.大動脈が破裂すると胸腔内に出血して循環血液量が減るため、循環血液量減少性ショックをきたす。
4.嘔吐や下痢によって脱水を起こすと、乳幼児や高齢者は循環血液量減少性ショックに陥ることがある。
5.心筋梗塞によって心臓から駆出される血液が減ると、心原性ショックをきたす。
ショック
急激に生じた全身性の抹消循環不全による症候群である。血流は十分な循環血液量、正常な心臓のポンプ作用、正常な血液の緊張により正常に維持されるため、いずれかの破綻によりショックが出現する。
例えば、(ア)血液が足りない (イ)心臓の調子が悪い (ウ)心臓に血液が戻れない などでショックが起きる。
ショックの5P
①顔面蒼白
②冷汗
③虚脱‥‥正常な血液の循環が著しく障害されて全身の活力が突然喪失すること
④脈拍触知不可
⑤呼吸不全
ショックの分類と誘因
①循環血液量減少性ショック
大動脈破裂による出血、広範な熱傷、下痢や嘔吐による脱水が誘因となる。血圧低下、頻脈、中心静脈圧の低下、抹消血管抵抗の増大などが、特徴である。
②心原性ショック
心筋梗塞、心筋炎、心膜炎、発作性頻拍症、重症不整脈、急性心タンポナーゼなどが誘因となる。胸痛、意識障害、抹消循環の不全兆候(浮腫やチアノーゼ)である。
③血液分布異常性ショック
(ア)感染性・細菌性・エンドトキシンショック(内毒素ショック)
グラム陰性桿菌のエンドトキシン(菌体内毒素)やグラム陽性菌のエキソトキシン(菌体外毒素)が誘因となる。初期症状として心拍出量が増加し、皮膚が温かいことがあり、warm shockとよばれる。
(イ)神経原性・外傷性ショック
脊髄損傷、脊髄麻酔、強い精神的衝撃、疼痛などが誘因となる。
(ウ)アナフィラキシーショック
抗生物質、麻酔薬、解熱・鎮痛剤、ホルモン薬、ワクチン、抗毒素、血液製剤などが誘因となる。呼吸困難、発疹、皮膚紅潮、血圧低下などが特徴である。
④心外閉塞・拘束性ショック
下大静脈閉塞、急性大動脈解離、肺塞栓、収縮性心膜炎などが誘因となる。