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新型コロナウイルスシリーズ⑲・「心不全パンデミック」に警戒(コロナ持続感染は心不全リスクを高める可能大)

新型コロナウイルス

コロナ感染・心不全のリスク高まる

理化学研究所などの研究チームは令和5年12月23日、

新型コロナウイルスに感染後、目立った心疾患を

発症しなくても心臓が持続的にウイルスに感染し、

心不全のリスクが高まる可能性がある、

との研究成果を発表した。

近い将来、心不全の患者が急増する可能性を指摘し、

対策の必要性を訴えている。

新型コロナの感染は、ウイルス表面にある突起状の

「スパイクたんぱく質」人の細胞表面の受容体

「ACE2」に結合することで起こる。

チームによると、心臓は他の臓器と比べて

「ACE2」を発現しやすい。

 

また、新型コロナに感染した人の一部は、心機能が

低下することが報告されているが、詳しいメカニ

ズムは分かっていない。

 

研究チームはまず、人工多能性幹細胞(iPS)細胞を

用いて心臓組織を作製。

これに多量のウイルスを感染させたところ、心機能は

低下し、回復しなかった。

一方、その1割の少量のウイルスを感染させると、

一定の心機能は保たれたが、感染は4週間後も続いた。

感染が持続しても心不全を発症しない患者が存在する

可能性もあるという。

さらに心臓組織を低酸素状態にして心機能を低下させると、

感染していない細胞は一定時間後に回復したが、少量の

ウイルスに感染したままの細胞は回復しなかった。

これは、持続感染によって、回復機能が弱まったと

考えられる。

 

理研は、「一部の新型コロナの感染者で、心臓が

     持続的に感染する可能性があり、心不全の

     患者が急増する<心不全パンデミック>に

     備えて、検査システムや治療法を確立して

     いく必要がある」と指摘する。

 

研究成果は、米科学誌「アイサイエンス」に掲載された。

 

心臓病を持っている人は要注意!新型コロナは血栓ができやすい

心臓と肺は密接に関係している。

心臓が悪くなると肺炎も更に悪くなり重症化する

可能性が高いのだが、最近、新型コロナウイルスは

鼻やのど、肺以外の心臓の筋肉の細胞や血管の細胞

にも直接感染することが分かってきた。

現時点で考えられている新型コロナウイルスの

感染の仕組みは、イメージとしては鍵と鍵穴が

合うと、ウイルスは細胞内に侵入して増殖し、

炎症などが起きて発症する。

今回の新型コロナウイルスは、その名の通り、

王冠のようなスパイク状の突起がある。

このスパイクの部分が鍵となり、鍵穴に当たる

ものが「AC2(アンジオテンシン変換酵素2」と

いうものになる。

この鍵と鍵穴が合うと、ウイルスは細胞内に

侵入して増殖し、炎症などが起きて発症する。

このACE2は、肺の細胞に多く存在するが、心臓

などその他の臓器や血管の細胞にも存在している。

特に、心臓の血管に直接感染を起こすと、狭心症や

心筋梗塞を引き起こす可能性が高くなる。

その他にも、

脳の血管に感染すれば、脳梗塞、

肺では肺血栓塞栓症、

足では下肢静脈血栓症など、

と、さまざまな病気になる可能性がある。

紛らわしい、心臓病とコロナウイルス

新型コロナウイルス感染症は、心臓病などの基礎

疾患があると重症化しやすいことが分かってきた。

特に、心臓病の症状と新型コロナウイルス感染症の

症状は紛らわしい可能性がある。

よく似ていることで、感染したことに気づきにくい

こともあるので、注意が必要である。

新型コロナウィルスに感染すると出てくる症状は、

発熱・息苦しさ・咳、

重症になると呼吸困難・倦怠感、

特殊な症状としては味覚、嗅覚障害、

などがある。

一方、心不全の患者によく見られる症状は、

心臓のポンプとしての機能が低下するために

生じる「息苦しさ」や、

場合によっては、「咳が出る」

ことがある。

心不全も重症化すると「呼吸困難」になる。

この「息苦しさや咳、呼吸困難」という

ものが心臓病の症状に似ていて、紛らわしい

可能性がある。

心臓病の患者さんは、少しでもいつもと違う

咳や息苦しさを感じたら、かかりつけの病院へ、

まず電話で相談をすることが賢明である。

警戒すべき心不全パンデミック

研究成果は、これまでほとんど報告の無い、

人の心臓組織に対するSARS-CoV-2の持続

感染の影響を示したものであり、「ポスト

コロナ」においてパンデミックが危惧される

心不全(SARS-CoV-2心筋症)の発症・進行

メカニズムの解明や治療法の開発に貢献する

期待できる。

2019年から始まった新型コロナウイルスの

感染症(COVID -19)パンデミックでは、爆発

的なウイルス感染者数の増加が起こった。

この状況は、将来、SARS-CoV-2の持続感染を

素因とする「心不全パンデミック」に発展する

可能性がある。

今回、共同研究チームは、ヒトiPS細胞から

作製した心臓マイクロ組織にSARS-CoV-2を

感染させた「SARS-CoV-2持続感染モデル」を

確立した。

これにより、SARS-CoV-2が持続的に感染した

人の心臓組織は、非感染組織に比べて、虚血性

心疾患を模した低酸素ストレス下での心機能低下を

引き起こしやすいことを明らかにした。 

 

 

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